「このテーブル、重さはどれくらいですか?」
掃除や模様替えの時などの移動を考えると重さが気になりますね。使用する人が高齢者や女性の場合は特に気になる方が多いようです。
家具のカタログには重さを表示していることが少ないので、ときどき質問をいただきます。木材などは個体差があり、タンスや大きなテーブルはあまり移動することも少ないためでしょうか、重さを計測する製造元は少なくデータもありません。手許に在庫がある場合は目方で計って回答いたしますが、実はこれが意外な誤解を生じさせる元となることがあります。
10kgは軽いか重いか?
皆さんは家具が「10kg」と聞いて「重い」と感じますか?それとも「軽い」と感じますか?
もちろん椅子かタンスかといった種類にもよると思いますが、移動することが多い家具だと重いと想像する人が多いようです。
ここで「感じる」ではなく、「想像する」と書いたのは、実際にはそう感じないものでも、数字の印象から「重いものだ」と捉えてしまう からです。
10kgと言えば米袋。
10kgと聞いてすぐ思い出すものとして身近なものといえば、スーパーなどで売っている米袋があります。スーパーから持ち帰るときは結構しんどいもので、片手で持つだけではなく、手提げのポリ袋に入れて持つと手に食い込んで痛いですね。
10kgのお米は食品の中でも最も重い部類で、それを片手で持って駐車場まで歩く、あるいは自転車のカゴに入れてフラフラしながら運転して持ち帰る訳ですから重労働。重いのは当然です。そういう経験から「10kgを手に持つと重い」と印象付けられています。
持ち方よって重さは異なる。
でもそれは「10kgの食品を片手で持ち帰る」からです。家具ならどうでしょう?
結論を言えば年齢や男女によっても感じ方は違いますが、10kgの家具はそれほど重くはありません。むしろかなり軽い部類です。
家具を片手で何メートルも移動することは、あまりありませんし担ぐこともありません。移動するのはわずかな部屋の中で、大きなものを持ち上げるときは二人が原則です。10kgの家具を米袋のように片手にぶら下げて移動することはないので、手にかかる負担は異なるのです。
持ち慣れないものは分からない。
一般的には日常あまり重さを意識してモノを持つことは少ないのではないでしょうか。
運送ドライバーなどのように日常的に重量を計る機会が無い人は、手に持った重さを推測することは結構難しいものです。
昔、「目方でドーン!」というテレビ番組がありました。一般参加者が奥様の体重と同等の重さになるまで商品を選び、同じ重さならまるごと商品が貰えるという内容でしたが、ほとんどの人は当てることができません。
重さの例
下記に家具の重さの例を挙げてみました。身近にあるものが意外と重量があることに気付きます。
椅子類
曲げ木の技術を使った椅子やラタンは比較的軽量ですが、キャスターの付いたワークチェアや肘が付いた木製の椅子は10kgを超えるもの が少なくありません。
テーブル類
手軽な折畳み机でも10kgはあります。大きさにもよりますが、座敷机は10~30kg前後が一般的です。また一枚板などの無垢のテーブルでは80kgを超えるものもあります。
そう聞くと「床が抜けるのでは?」と思う方もいますが、荷重は四隅に分散されますし、床が抜けるようなことはありません。そもそも100kg程度で床が抜けたら人が生活できないですから心配はありません。
ベッド・ソファー類
中のクッション素材によって大きく異なりますが、金属部品のスプリング等が入っているベッド、ソファはかなり重さがあります。それでも二人で持てば一人当たり20数キロです。小学生の体重が30kgくらいですから、子供を抱ける方なら問題ありません。
重さ感覚は慣れ。
因みに、数十キロの重さの感覚には慣れている家具屋ですが、逆にグラム単位はまったく分かりません。お肉屋さんなどはスムーズに指定の量をつかみ取りますし、寿司職人の方は均等にシャリを握るので、これは経験の成せる技だと思います。